20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

法律の条文・・・見るだけで眠くなるもの

久々の投稿となってしまいました。

 

今回の記事では、社会保障に限らないのですが、「法律の書かれ方」ということを取り上げたいと思います。

 

税制、国防、社会保障・・などなど、国の基本的な事項は、法律で決められています。例えば、消費税を10%に引き上げる時期については、

 

社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律、という法律(消費税の引き上げを決めている法律)の附則第1条で、この法律が施行(実行に移されること)されるのは、「平成31年10月1日」であると明記されています。

 

このように、多くの人が喧々諤々議論して決められた制度の多くのものは、最終的に法律で明文化されることになります。

 

今回は、その法律の書き方がどうなっているのか、ということを少し記事にしたいと思います。

 

まず、法律のイメージってどのようなものでしょうか。

分かりにくい・・・ですよね。はっきりいって分かりにくいと思います。

 

なぜそうなるかというと、法律を書き下すにあたって、

①誰が読んでも一義的に意味が捉えられること

②可能な限り短いこと

といったものが作成者の信条としてあるからかと思います。

 

まず、①「誰が読んでも一義的に意味が捉えられること」ということについて考えてみたいと思います。

 

例えば、

「太郎君は、綺麗な花子さんの花に水をあげた」

という文章があるとします。

 

これでは、「綺麗な」のは「花子さん」なのか、「花子さんの花」なのか、

修飾関係が分かりませんよね。

 

なので、

「太郎君は、綺麗な、花子さんの花に水をあげた」

としないといけません(綺麗なのは、花)。 

 

また、次の文章で、

「太郎君は、たか子さんの花に水をあげた」

とあるとします。

 

ここでは前と比べて、「綺麗な」という修飾語がないので、

「花子さんの花は綺麗だけど、たか子さんの花は綺麗ではない」

ということが分かります。

 

もし、この文章を作成した人が、両方とも同じくらいの綺麗さであると考えているのであれば、この表現は適切ではありません。

 

このように、一つ一つのワーディングにこだわって法律は書かれるのですが、逆にその分、長くなります。

 

また、②「可能な限り短いこと」、というのは、

 

これは「短いほど美しい」というような意識がなんとなくあるようで、これは職人芸みたいなもの思います。

法律が出来たら、官報という政府が発行する印刷物に全文を載せるのですが、昔は紙がもったいないという意識から、出来る限り短くした方がいい、ということになっていたようです。

今もその名残があるのですが、逆に読みにくくなっているのではないかと思います。

 

ここでは例示として、残業時間規制の関係の「サブロク協定」に関連する条文を見てみたいと思います。(眠くなるので飛ばして下さってもいいです。)。

 

労働基準法

(時間外及び休日の労働)
第36条  使用者は、・・・労働者の過半数を代表する者との書面による協定をし・・・た場合においては、第32条から第32条の5まで若しくは第40条の労働時間(以下この条において「労働時間」という。)又は前条の休日(以下この項において「休日」という。)に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによつて労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。・・

 

ここでは、「前条の休日」とか書かれていますね。

「休日に関する協定」だけだと何のことか分かりませんが、「前条の休日に関する協定」としてくれれば、なるほど、前条(第35条ですね。)に書いてあるやつか、と特定できるので、意味が紛れがなくなるというわけです。

 

また、この条文では、「(以下この条において「労働時間」という。)」と、略称規定も置かれていますね。これは略称規定を置くことで、条文が短くなるテクニックです。

 

さて、そんな法律が、どのような過程で作成されているかを紹介したいと思います。

 

① 役所の事務方が原案を作成

② 内閣法制局でチェック

③ 時の政権が閣議で決定

④ 国会で審議し、成立

 

以前③・④に関連した記事は書いたことがあるので(以下のリンクです)、

制度改正はどのようにして行われるのか - 若者による社会保障のブログ

 

今回は、①・②について少し説明したいと思います。

 

①原案の作成作業

 

これは特に法律家とか弁護士資格がある人が書いているわけではなく、役所の普通の人間(理系の人が書くこともあります。)が作成します。

法律の書き方には様々なルールがありますが、それに則っていれば、誰が書いても構いません。

 

最近、花粉症がやばいのですが、「人前でくしゃみをしてはならない」、という法律を新しく作ってみるとしましょう。すると、

 

◎くしゃみ禁止法

第1条 国民は、公共の場でくしゃみをしてはならない。

 

となります。ですが、病院やクリニックには、花粉症の人もくるので、そこは免除してあげるとすると、、、

 

◎くしゃみ禁止法

第1条 国民は、公共の場(病院及び診療所を除く。)でくしゃみをしてはならない。

 

となりますね。

 

このとき、「病院と診療所」と言わず、「病院及び診療所」といいます。

これは法律を書くときの決まりです。

また、「クリニック」という用語は、他の法律にも出てこないので使えません。

 

厳密にいうと、「病院」とは、医療法上に定義があって、「医師又は歯科医師が、公衆又は特定多数人のため医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有するもの」です。「診療所」は、入院施設がなかったり、ベッド数が19人以下のことですね。

 

さらに、罰金もかけるとすると、

 

◎くしゃみ禁止法

第1条 国民は、次に掲げる場合を除き、公共の場(病院及び診療所を除く。)でくしゃみをしてはならない。

第2条 前条の規定に違反して、くしゃみをした者は、10万円以下の罰金に処する。

 

この時、第2条では、「第1条の規定」とはせず、「前条の規定」という言葉を使います。

「第1条」というと3文字ですが、「前条」と言えば2文字になって、文章が短くなるから、という意味だと思います。

 

こんな感じで、他の法律で同じような用例がないか、一般的な法律のルールに抵触していないか、確認しながら原案を作成していくのですね。

 

② 内閣法制局でチェック

 

このようにして、作成された原案は、内閣法制局という法律をチェックする役所が審査し、様々な角度で検討され、洗練されます。

日本の法律は全て内閣法制局が法的に問題ないかチェックしています。そのため、法制局長官が、憲法の解釈についても国会で答弁していたりしますね。

 

くしゃみ禁止法の例でいうと、以下のような指摘が大量に浴びせられます。

 

・人の生理現象を規制する過去の例は他にあるのか。「おなら」は禁止しないのに、「くしゃみ」を禁止する合理性はなにか。

・罰金は10万円が妥当なのか、他の制度では10万円とか30万円とかあるぞ。

・法律の形式は、新法をつくるということでいいのか。既存の法律で、「おなら禁止法」というものがあれば、それを改正して、「くしゃみ及びおなら禁止法」とすればよいのではないか。

 

等々です。これがしっかりと一つ一つ課題をつぶしてより洗練させていくわけですね。

 

このように、法律の文言一つ一つが精査された成果物が、法律になるわけです。

 

逆に言うと、法律の書きぶり一つ一つに、どうしてこう書かれているかの合理的な理由があるのですね。

 

このような仕組みを知って、少しでも法律に抵抗感がなくなればいいなと思います。

オバマケアとは何だったのか 

最近、アメリカのトランプ新大統領のニュースばかりですね。通商政策や移民政策にも注目が集まっているところですが、個人的にトランプ大統領の登場によって社会保障政策はどうなるんのか、、というのが気になります。

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(写真はwikipediaより。)

 

トランプ大統領は、前のオバマ大統領が実現したオバマケア(正式にはAffordable Care Actといいます。)に対して反対・あるいは見直すべしという立場にいるようです。

 

ということで今回は、そもそもアメリカの医療保険の歴史やオバマケアってなんだったのか、、ということについて記事にしたいと思います。

 

その前に日本の医療保険の中身をざっと確認すると、

国民全員が公的な医療保険制度に入っている国民皆保険が達成されていますよね。

しかも、皆さん保険証一枚あれば、どの医療機関にでもかかれるし(フリーアクセスといいます。)、

さらに、受けたサービスが一緒であれば、その値段も一緒ですよね。例えば、高齢者でも子どもでも、生活困窮者でも、初診料は同じですよね。

 

これは、日本では、医療保険は国による制度管理がされ、窓口での患者さんが支払うのはかかった費用の3割とか決められていたり、全国一律に診療報酬や薬の値段も決められているからです。

 

一方のアメリカがどうなっているかというと、そういうわけでもないようです。

アメリカには高齢者や低所得者は違いますが、多くの人は公的な医療保険ではなく、民間の医療保険に加入しています。

 

民間の医療保険となると、それぞれ、保険を出してあげる範囲が異なっていたり、その民間の保険会社と契約している医療機関で治療を受けないと、保険がおりない、ということになります。

 

げげっと思いますが、これにはいい面もあって、個人が自分にとって一番納得がいくような保険を選択できるということです。保険料をどれくらい払って、その対価としてどれくらいのサービスが受けられるか・・健康な生活を送っているのでれば、高い保険料を払ってまで、めちゃくちゃ充実した保険に入る必要なんてありませんよね。

 

ただ、民間保険であれば、病歴がある人は再発リスク化があるので、保険料を高めに設定されたり、そもそも保険に入るのを拒否したりすることだってあります。病気になるリスクがある人ばかりになると、保険の給付費が膨れ上がって、保険会社も儲からなくなっちゃうからです。

 

オバマケアは、2010年に成立したものですが、その内容は、雇い主に被用者に対して民間保険を提供することを義務付け(従わなかったら罰金)、自営業などの個人に対しても民間医療保険に加入することを義務付け(従わなかったら罰金)を行いました。

 

ですが、お金がなくて入れない人もいますので、そういう人に対しては、税制面での優遇をすることで負担を減らしたり、連邦政府や州政府がそのような人でも入れる医療保険を紹介するような仕組みをつくっています。

 

また、民間の医療保険にも、その人の健康度合で保険に加入することを拒否することをできなくしたり、患者さんの自己負担額が過大なものにならないようにさせたりする規制を強化しています。

 

このようにして、オバマケアは、民間保険が主体のアメリカの医療保険制度を維持しつつ、それに国民が加入しなければいけないよ、ということにしたということですね。

 

ですが、そもそもなんでアメリカでは、日本とかと違って、民間の医療保険が主流なのでしょうか。

 

アメリカでも過去何度も政府が制度管理をする医療保険制度をつくろう、という試みがあり、F・ルーズベルトトルーマンといった民主党が主導権をもつ時代にもされたこともありました。

ですがその際、患者と医師の間に国家が介入すること(例えばどの診療に何円の保険が下りることを決めること)とは何事だ!、自由の国アメリカでそんなことはあってはいけない!、といったように反対を受け、頓挫してきた経緯があるそうです。

 

特にアメリカという国は、イギリスから逃れてきた人たちがつくり、自由や平等、民主主義、という理念に基づき憲法が制定され、その理念を国民のよりどころにしているという建国の歴史あります。

そうすると、国家による自由への介入ということについて、抵抗感がある人も少なくないそうです。それは、各州の自治権が強い分権制にも表れていますよね。

 

そういう背景により、国による医療保険制度の管理というのは拒否され、個人の契約や判断に基づく民間保険が発達してきたというわけです。

 

オバマケアは、このような流れを踏襲しつつ、民間保険中心のアメリカの医療保険の在り方は変えず、それをベースとして、みんなが医療保険の枠組みに入ることを目指したものと位置付けになるということですね。皆保険は過去何度もトライしてきた民主党の悲願でもありました(日本やヨーロッパとは違い、国が制度運営するものにはなりませんでしたが・・)。

 

一方、財政赤字が増えるとか、保険料の上昇が止まらないとか、医師が書く必要がある書類が増えたとか、、、批判もでてきており、しかもオバマケア法は、共和党の賛成を得ずに押しとおしたという議会プロセスもあるので、今回トランプ大統領が就任したことで、何らかの修正が今後されていくの必至かと思います。

(国による皆保険を目指してきたのは、一貫してリベラル派・民主党でした。)

 

日本では高度経済成長期に国民皆保険が達成され、しかもその後、一部の都道府県で行われていた高齢者の医療費の無料化を全国実施するということをやったりと、医療保険を充実してきた歩みはアメリカとは対照的ですね。国家による自由への介入、ということはやはり日本ではあまりフィーチャーされないのは国民性の違いなのかと思います。

 

以前、ライフネット生命の会長の出口さんの講演を聞いた時、彼は「ものごとを理解するのは縦と横」という旨のことを言っていました。縦は時間(歴史)、横は面(地理的比較)ですね。そのような意識で今後も勉強としていきたいですね。

広がる健康経営~人を大事に会社に注目が集まっています

これまで、国の制度をよく記事にしていましたが、今回は、企業の取組について記事に挑戦したいと思います。

 

最近、よくニュースで「健康経営」という言葉を聞いたことはありませんか。

 

企業が快適なワーキングスペースをつくったり、従業員さんの健康管理をしっかりして健康な人が増えると、一人ひとりの生産性も増えますよね。早く帰れる人が増えますよね(残業時間が長い、ということが社会的に取り上げられていますし)。

そして、ひいては生産性も上がりますよね。

 

健康経営とは、そうした経営をすることです。

 

最近「○○会社がスマホで自分の健康管理ができるシステムを導入」みたいな記事をよく見かけますよね。こういう取組も健康経営の一つだと思います。


例えば、有名商社の一つに伊藤忠商事があります。分かりやすいのでとりあげますが、伊藤忠では「朝活」を進めているらしく、

・朝食サービス(企業側が朝食を用意してくれる!)
・原則8時以降は残業しない!(やるなら朝仕事を!)

といった感じで、不摂生だった従業員さんの健康度をアップさせています。確かに朝早く職場に来ると頭もクリアで集中できますよね(深夜の集中力の低さたるや・・)。

 

それが要因かどうかはよく分かりませんが、商社の中でも業績好調ですよね。ちょっと雇用される側としては、従業員を大事にしてくれることについては、うらやましいですね。

 

他にも、花王とか、ローソンとか、健康経営に力を入れています。ローソンでは、今もやっているのかわかりませんが、健康診断を受けないとボーナスカットもしていたそうです。

 

経産省は、証券取引所とも連携して、このような企業を「健康経営銘柄」として毎年25社くらい公表しており、上記の3社もこれに入っています。

ここであるのは、大企業ばかりですが、今後は、中小企業の取組についてもすそ野を広げて、表彰とかもしていくそうです。(どうやら、今月にこの2018年版が公表されるらしいです。)

 

この狙いは、健康経営銘柄だ!、とプレミアム感が出れば、市場での企業価値もあがりますし、そこに注目して投資する人も増えるかもしれない、ということ思います。

実際、企業の健康経営を評価して、日本政策投資銀行が融資を行ったというニュースも最近ありました。

 

最近ESG投資(environment,social,governance)というか、これからは財務諸表だけじゃなく、社会貢献とか諸々も含めて評価し、投資するんだ、ということが注目されていますが、そのような流れにもあっているのではないかと思います。

 

大企業だと、それぞれ健康保険組合を運営していますよね。大企業にお勤めの方の保険証には、「○○健康保険組合」とか、自分の会社の名前が書かれていると思います。それは、企業の規模が大きいと企業ごとにそれぞれ健康保険を運営しているからです。

 

一方、中小規模のところだったりすると、複数の企業が集まったり、全国組織の健保に入ったりして、「○○総合健康組合」とか、「全国健康保険協会」とか、になっていると思います。

※自営業とかの人は、お住まいの国民健康保険に入っているかと思います。

 

健康保険組合は、平たくいうと、従業員から保険料を集めて、お金をプールしておいて、病気になった人がいたら、その人にお金を支給する、という業務をやっています。

 

具体的には、従業員さんが風邪とかを引くと、病院や診療所から、健康保険組合にお金の請求書がきて、それをチェックして支払う、ということになります。

また、健康保険組合は、その加入者に対して、40歳以上の人にメタボ健診を実施する義務もあります。

 

そこでミソなのですが、その請求書(レセプトと言います)には、その人の病名や行った治療、投与したお薬とかが書かれています。

正確に記載しないと、病院側がどんな治療をしたか和解らず、お金も払えませんので当たり前ですよね。

 

すると、健康保険組合にデータがたまります。これは電子化されています。すると、この従業員さんは、○○という病気で、▲▲という治療を受けて、◇◇という薬をもらったらしい、ということが健康保険組合が把握できます。

また、健診も実施していますので、この従業員さんの血圧・血糖値・脂質・喫煙歴etc、などが分かります。これも電子化されています。

 

そうすると、ビッグデータみたいになものができます。このご時世ですので、ビッグデータは分析されます、そのデータを分析することで、組合に加入している人たちの健康課題が分かることになります。

 

それが大企業ですと、その人事部門と健康組合が連携することで、その企業の健康課題とか、ちょっとハイリスクな人が分かって、ハイリスクの人を狙い撃ちする、ということができるのですね。こういうのをデータヘルスとかいったりします。

 

特に若年層で多いのは、生活習慣病(メタボとか)とメンタルヘルスです。最近ストレスチェック制度も導入されましたし、このようなデータが蓄積されて、効果的に従業員の健康管理に取り組む企業が増えるといいですね。

 

また、同時にみんなが健康になれば、その分、医療費がかからないので、保険料が上がるのを抑えられるので、給料から天引きされる保険料も安くなるかもしれません(実際、高齢者の医療費にもってかれている額も結構あるので簡単なことではないかと思いますが)。

 

このような良いことずくめの健康経営ですが、とか、データヘルスという取組が進むには、特に経営者のやる気というのも大きいのかな、と思います。

例えば、企業ですと、上司から、「おい、健診受けろよ!」と言われたら、なんか従わないといけない気がしますよね。

 

伊藤忠の社長も東洋経済のネット記事によるとライザップに通っているそうですし、こういう経営者が増えていってほしいと思います。

75歳までが若者。いつかはそんな時代がくるかも

最近ちまたをにぎあわせていたニュースに、今、65歳以上となっている高齢者の定義を見直してはどうか!、、、というニュースがありましたね。

 

日本老年医学会という団体が以下のように定義を改めてはどうか、という提案しているそうです。

https://jpn-geriat-soc.or.jp/proposal/pdf/definition_01.pdf

 

65~75歳 准高齢

75~90歳 高齢

90歳~   超高齢

 

今は、高齢者の定義としては、一般には、以下のとおりになっています。

 

65歳~75歳  前期高齢

75歳~     後期高齢者

 

年金がもらえるようになるのは、65歳から、また、介護保険のサービスが広く受けられるようになるのは、65歳から・・・

など、今の社会保障制度はこの65歳以上という高齢者の定義を前提として仕組まれています。

 

後期高齢者」、というネーミングは、2008年に医療保険の大きな制度改正が行われた際に話題になりました。

医療保険の制度の枠組みとして、後期高齢者医療制度というものをつくったのですが、この「後期」というワーディングがネガティブなイメージがあり、また、負担が増えてしまうという人ことも相まって大騒ぎになったそうです。

なのでこの制度のことを、たまに「長寿」医療制度、とかいう人がいるのもこの名残な気がします。

 

さて、65歳は若い、ということについては、確かに。と個人的には思っています。しょうもないと思うかもしれませんが、65歳以上の有名人をググってみましたら、以下のようにヒットしました。

 

桃井かおりさん  65歳

ビートたけしさん 70歳

麻生太郎さん 76歳

黒柳徹子さん 83歳

 

なかなか第一線で活躍されている方も沢山いるんですよね(勿論健康に気を遣っていると思いますが・・・)

 

日本の平均寿命は、男性は80歳くらい、女性は85歳くらいですが、健康寿命という言葉を聞いたことがありますでしょうか。

これは、「健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間」ということが定義となるそうですが、男性は71歳、女性は76歳だというそうです。そのため、65歳くらいだとやはり健康な人はやはり多いのではと思います。

 

また、一人当たりの医療費については、

65~70歳 年間45万円

75~80歳 年間80万円

1人当たりですので、結構な差がありますね。

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/nenrei_h26.pdf

 

また、要介護認定率(これは、介護が必要だと認められる割合です)についてですが、

65~70歳 2%

75~80歳 14%

80~85歳 30%

・・・意外と認定率って低いんですね。

 

やはり、「高齢者」といっても、そのグラデーションというのは確かにあって、これを見直そう、という提案は分からなくもないと考えます。

 

ただし、このような議論で「やはり年金の支給の開始年齢を今65歳になっているのを75歳に引き上げよう」ということにはならないのですね。

 

実は、今の年金の仕組みですと、基本は65歳からもらえるということになっていますが、本当は60歳から70歳までの間で支給開始年齢を選ぶことができます。

 

例えば、60歳から支給を開始するとしたら、その人の年金は65歳から支給を開始した場合よりも30%引きの額になります。逆に70歳から支給を開始するとしたら、40%増しくらいになるのですね。

 

なので、今も70歳からもらえるようになっている中、「年金の支給開始年齢を引き上げるべし」というのはナンセンスな提案なのですね。

 

いつから支給開始をするかは個人のライフスタイルに応じて選べることになっていまるのを、「60歳から75歳の間で選べるようにする」ということなら、今後あり得るかもしれません。

 

たばこの煙がない時代がやってくる・・・?受動喫煙への対策が強化へ

久しぶりの更新になってしまいました。。年末からこれまでいろんなニュースがありましたが、折をみて思うところがあるものについては、記事にしていけたらなぁと思います。

 

さて、1月20日から、国会が始まりました。この国会は通常国会と呼ばれ、6月まで開催されることになっています。初めは来年度の国の予算についての議論が主だったものですが、この国会でもいろいろな法案が議論をされそうです。

 

注目が高いのは、天皇生前退位の特別法案や、共謀罪(なんなんでしょうか・・)の創設の法案、税制だと配偶者控除の見直し、などなどでしょうか。

 

さて、当ブログでは社会保障のブログですので、社会保障の関係の法案について見てみたいと思います。

 

個人的に今国会で注目しているのは、

介護保険の改革と、たばこ対策法案・・です。今回は、このたばこ対策法案について記事にしたいと思います。

 

僕はたばこを吸わないのですが、居酒屋などで隣の席の人がたばこを吸っていると、服も臭くなりますし、もくもくしますし、ちょっと嫌だな、と思ってしまう人です。

(喫煙者のみなさん、すみません。。)

 

まぁ、ビール飲みながらたばこを吸いたい気持ちもわかるのですが、その副流煙というか、喫煙者のたばこからでた煙を周りの人が吸う(受動喫煙)と、その吸った人も体に悪いのだ、というエビデンス蓄積されてきたそうです。

 

確かに、妊婦さんの前ではたばこは吸わないとかありましたけど、昔からなんとなく、たばこの煙は喫煙者の人だけじゃなく、周りの人にとっても体に良くないということが言われていましたよね。

 

そのようなことを踏まえ、次の国会には、受動喫煙対策法が提出され、審議される見込みになっているようです。

 

まだその中味は定かではありませんが、厚労省のHPを見る限り、以下のような内容になっているそうですね。

 

--------------------------------------

●病院や学校ではその建物内のみならず、敷地内も全面禁煙(一番厳しい)

●官公庁やスタジアムなどでは施設では、建物内禁煙(建物の外なら吸える)

●飲食店やホテルのロビーでは原則禁煙だけど、喫煙ルームなら吸える

●そのような措置を講じないところは、罰則を科す

---------------------------------------

 

・・・なかなかにこれが本当のことになったら、大きな影響があるのではないかな、と思っています。(飲食店の人たちは対応が大変そう、、、)

 

【参考】厚労省の検討会の資料(昨年の11月のもの)

http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000140972_2.pdf

 

喫煙者ではない僕はありがたいなぁとか思っていますが、禁煙者の方にとってはたまったもんじゃないですよね。そのような法案がなぜ今、議論されようとしているのでしょうか。

 

それはずばり、2020年にオリンピックが来るからです。

 

受動喫煙対策なんて、昔から言われていることなので、何をいまさらやっているんだ、という感じなのですが、上記のとおり、このような対策を講じようとすると反対する人たちがいっぱいいたから、出来なかったんですよね。

 

例えば、飲食業界。いちいち喫煙と禁煙を分けるのなんて面倒ですよね。お店の自由ではないか!、と。

また、意外にも医療関係者の中にも、反対というほどではないかもしれませんが、懸念する意見もあるそうです。例えば、ながーく病院ぐらしが続いている患者さんの中には、喫煙する人いますよね。そういう人が、病院のどこでもたばこを吸えなくなるなんて少しかわいそうじゃないか!、と。

 

このように、受動喫煙対策といったら、多くの業界を巻き込むおおごとなので、なかなか踏み込めなかったんじゃないかな、と思っています。なので、何か『ドカン』とした契機が必要だったのではないかと思いますね。

 

近年オリンピックが開催されてきた各国ではすべからく受動喫煙対策が講じられてきています。

そして日本はそういう対策はとっていません(少なくとも罰則付きの強い対策はとってきていません)。

なので、これを契機に、日本も受動喫煙対策を!ということになっているのですね。

 

ですので、国会などで喧々諤々の議論がされるのではないかと思いますが、正直、今回で受動喫煙対策法が通らなかったり、骨抜きにされたりしたら、もうしばらくチャンスは来ないのではないかな、と思います。

それだけ、改革の「気運」というやつが大事なのですね。

 

気運というと、注目されている残業時間規制についても気運が高まっており、世論も注目しているので、(総理もよく注目していますし、)今まで、できなかった踏み込んだ改革も出来るのかもしれませんね。

 

あまり細かいことに踏み込めずですが、この法案が国会で議論されたら、またニュースにもなると思いますので、僕も注目してみていきたいなと思います。

過去最大の政府予算とその裏にある改革

インド旅行を企画して調べていたのですが、その中で発見した写真の一枚…

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タージマハルの入場料

 

外国人 1000ルピー
インド人 40ルピー

 

なんという差でしょう。。

ちなみに1ルピーは1.7円くらいです。

 

外国人旅行客なら、そもそもインドまで来て、タージマハルの入場券なんてケチるわけありませんし、そもそもお金持ちですし

確かにこれくらい求めても、タージマハルにくる人は少なくなることはないでしょう。

 

 

さて、今年の年末に政府の予算案が閣議決定されました。社会保障費はそのうち35兆円強、過去最大となっています。

 

政府の予算案というのは、例えば平成29年度の予算でしたら、

 

1. 平成28年の夏に各省から、来年度はこれくらいの額が必要!、と予算を要求する←概算要求といいます

 

2. 財務省が、これって本当に必要な予算なの?って査定しまくる

 

3. 与党の議員とかも含めて議論し、平成28年末に内閣で予算案をこれで行こう!と決定する←予算案の閣議決定(今ここです。)

 

4. 政府が提出する予算案を国会で議論する

 

5. 予算が成立する(平成28年度末)

 

という、プロセスになっていますので、

 

昨今のニュースはあくまでも、政府部内での予算案の決定でしかなくて、国会においで議論されていないので、まだ日本の来年度予算としてはオーソライズされていないのですね。

 

そのため、予算「案」と言っているわけです。

 

さて、今年の社会保障費も過去最大です。それは、簡単に言うと高齢化が進み、医療費や介護費が増大しているからです。

 

医療費や介護費の多くは、税金で賄われていますので、それらが、大きくなると、自然と社会保障費も増大するのですね。

 

恐らくこのトレンドはしばらく続き、来年度の社会保障費、来来年度の社会保障費も過去最大になるでしょう。

 

高齢化が進むと、しかも、高齢者の中でも後期高齢者と呼ばれる75歳以上の人が増えると、彼らの一人当たりの医療費や介護費は75歳未満の人より高いので、医療費や介護費は増大するのですね。

 

そのような中、国は毎年、社会保障費の伸びを5000億円程度にしよう!、という目標を立てています。

医療費や介護費の伸びというのは、沢山の要因があります。


1. 高齢

 

2.医療の高度化。難しい医療が普及すると難しいので、医療の単価が高くなります

 

3. 診療報酬や介護報酬の改訂。医療や介護の値段は、国が決めています。そのため、国が単価を上げ下げすれば医療費・介護費は上下します

 

などです。

 

政府はこのうち、社会保障費の伸びを高齢化の影響のみの範囲内に収めようとしています。それが5000億円ということです。

 

厚生労働省は、夏の概算要求の時点で、6400億円くらい、来年度はプラスで必要だ!と計算していましたが、これをどう5000億に収めるのかが、注目されていました。

 

結果はどうだったのでしょう。

実は5000億円の範囲内に収めたのですね。

 

では、どうやってそれを達成したのでしょうか??

 

沢山の要因がありますが、例えば以下の改革を行うことを決定し、制度を変更することで、社会保障費を抑えることに達成したのです。

 

少し長くなりますので、読みやすいようにしましたが、面倒だったら飛ばしてくださっても構いません。

 

1. 高額療養費の見直し
皆さんはあまり馴染みが無いかも知れませんが、月々の医療費が相当高くなってしまった場合、負担できなくなることがないように、実は毎月の医療費の負担額に上限が定められています。

これについて、来年から比較的所得の高い高齢者について、月々の負担上限額を上げることとしました

 

2. 高額介護サービスの見直し
1. と同じく、介護保険にも毎月の上限額というものがあります。これについて比較的お金を持っているだろう人の上限額をあげることとしました

 

3. 介護保険の利用者負担割合の3割負担の導入
介護保険は、利用した場合そのかかった介護費について、普通の人は1割、比較的所得が高い人は2割となっていますが、かなり所得が高い人について3割負担とすることとしました

 

4. 所得が高い企業に属する人の介護保険料の引き上げ
介護保険の保険料について、現行制度では所得の低い企業も、所得の高い企業も、同じくらいの介護保険料を納める必要がありますが、これを所得の低い企業にいる人は保険料を少なく、高い企業にいる人は多く払ってもらうことにしました

 

5. その他もろもろ
前取り上げた凄い高い薬剤(オプジーボという薬です)の薬価の緊急改訂、慢性的な病気で入院している人に対する入院費用の引き上げ、などを行うことにしましました

 

 

ちょっと長くなってしまいました。


皆さん、お気付きの点はありませんか?

 

ずばり、お金を比較持っている人、負担が増えることとなっていますよね。

 

タージマハルの入場券ではありませんが、所得がある人からは利用料や保険料の負担が増えることとなっています。


勿論これだけでは無いのですが、このようなことを通じて、社会保障費の削減を図っているのですね。

 

なんだか、お金の持っている人が可哀想な気がしますが、、なんでこのようなことが起きているのでしょうか。

 

医療費や介護費が前述の通り増大している中、どのようにその費用を賄うかが問題になっています。


それは誰からお金を頂くのか、ということと同じ意味なのですが、一番負担をあげても影響が少ない人ってやっぱり、お金を持っている人なんですよね。

カツカツで生活している人からよりお金を負担していただくのは、その人の生活に直結しますよね。

 

そういう当たり前の事なんですが、お金を持っている人にはより多くのお金を負担していただく、という改革が最近のトレンドのように感じます。

 

ですが、あまりこういう事を進めると、お金持ちの中には医療保険介護保険に入りたく無い!という人が増えてくるかもしれませんし、

折角お給料上がったのに、保険料なども上がって相殺された!、とかいう問題も起きそうです。

 

そういう事を踏まえると、確かに、国家財政が喫緊の状況で、負担能力がある人は相応の負担をしていただく、というのは必要な改革かと思いますが、他にも、

 

1. 本当に医療保険介護保険で賄うべきサービスなのか? 例えば風邪とかにかかっても医療保険で面倒みなくてもいいんじゃないか?
2. 非効率な医療や介護はないか?、費用対効果的に高すぎるものもあるのではないか?

 

などなど、誰が費用を持つかという話では無くて、そもそもの費用の発生源を見直そう、という話やそれに向けた改革論が盛り上がってくるのかと思います。

 

タージマハルからここまで来ました。

観光地ではお金のことでケチケチしたくはありませんが、そんな事を思ったわけです。

 

それでは皆さん良いお年を…!

最後のセーフティネットと言われる生活保護

今回のブログでは、今まで挑戦してこなかったテーマの記事を書こうと思います。

 

社会保障の最後のセーフティネットと呼ばれている生活保護制度についてです。

この制度、どのような制度かというと、まさに憲法第25条を具現化したというような制度です。

お金がなくて困っている人について、申請をした上で、生活費や家賃、医療費を国から補助してあげようという制度です。

 

終戦後の日本はたくさんの、戦争で負傷した人や、稼ぎ頭をなくして生活に困る人が多くいました。日本の社会保障は、今となっては、医療保険や年金などが中心ですが、高度成長期くらいまでは、生活保護が日本の社会保障の中心だったのですね。

 

ですが、もちろん、みんなが受けられるわけではなく、厳しいチェックがあります。

本当にこの人は資産がないのか、養ってくれる家族はいないのか、働かないのか・・などなど・・
自治体のケースワーカーさんが判断をして、本当に困っている人にだけ、「必要な額」のみを支給する制度になっています。

 

必要な額というのは、例えば、年金をもらっている高齢者の場合は、年金がある分、生活保護でもらえる額も少なくなります。あくまでも、本当に足りない額だけしか、支給しないのですね。

 

生活保護の財源は税金です。

 

医療保険とかの社会保険においては、保険料を支払っているので、そのことをもって給付を受ける権利を得ているわけですが、生活保護はみなさんそのための保険料を支払っているわけではないですよね。

私たちが払っている税金で生活費を賄っているわけですので、本当にその人が生活保護の支給を受けるべきなのか、相当厳しくチェックするわけです。

 

僕は以前、ケースワーカーさんの仕事ぶりを拝見させていただいたことがありますが、金融機関に口座を持っていないか照会をかけたり、住民票をたどっていって、本当に養ってくれる人がいないかチェックしたり、実際にお宅を訪問してヒアリングしたり、、、と探偵さながらのチェックをするのですね。

 

住民票をたどって、絶縁状態にあったお子さんにたどり着いても、「そんな人は親じゃない!」とか言われて断られることもあるようです・・(大変だ。。)

 

よく、生活保護制度で言われるのは、「生活保護を不正受給しているのではないか」、「生活保護費でパチンコ行っておりけしからん」とかいうことですね。

 

確かに皆の税金で生活費を賄っているのに、そんなことされたらたまったもんじゃないですよね。そこはケースワーカーさんも厳しく見ているはずですが。。

 

ですが、実は実は、金額ベースだと、不正受給の割合は1%にも満たないのですね。保護に係る費用は4兆円弱ですが、その1%をやっきになってつぶしにいく、というのは非効率な気がします(不正受給を許しているわけではありませんが。)。

 

もし国の財政面を本当に心配している人であれば、医療費が40兆円、介護費が10兆円を超える中、医療・介護の改革を一丁目一番地におくべきだと思います。

 

生活保護制度については、むしろそもそも生活保護に陥らないように仕組みをつくっていくことが必要だと思います。

 

具体的には、実際に働いて所得を得られそうな人については就労を支援することや、若い人をもっと厚生年金に入りやすくして、将来の年金をもらえる額を増やす取組などです。

 

年金制度は、会社勤めの人は、基礎年金と厚生年金の制度に入っており、将来その2つがもらえますが、非正規やパートで働いている人は基礎年金の制度にしか入っていないので、今確かに保険料を払う額は少ないかもしれませんが、将来もらえる年金額は少なくなってしまいます。

 

基礎年金を満額もらったとしても、月額6.5万円が現状なので、これだけで生活していくのは結構きついですよね。

そのため年金に加えて、貯蓄をしておく必要があるのですが、なかなか将来にわたってどれくらい貯蓄をしておけばいいのかなんて分からないですよね。そのため、出来る限り厚生年金の適用範囲を広げていく必要があるのではないかな、と思います(厚生年金の保険料は企業と個人が折半なので、企業サイドは反対するでしょうが・・)。

 

高齢化の影響もあってか、生活保護を受給している人のうち高齢者の割合は半数を超えています。そういう方は収入源を新たに獲得することが難しいので、生活保護から抜け出しずらいのですね。

 

なんだか、暗い記事になってしまいましたが、最後のセーフティネットである生活保護制度にも関心をもって勉強していきたいです。