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20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

公的年金の処方せんとして積立方式は機能するか

若者目線の社会保障のブログという事で、最も気になるもののひとつに年金があります。まさに年金の制度改正についても国会で議論になっていますが、今回は、その年金制度についての記事を書いてみようと思います。

 

今回ご紹介したいのは、年金制度における世代間の公平不公平を論じる際によく議論になる、積立方式と賦課方式のどちらがいいのかということです。

 

積立方式というのは、自分が支払った保険料を高齢者になるまで積み立てておいて、その原資と積立金の運用益で保険料の給付を行うものです。

 

一方、賦課方式というのは、今の現役世代が支払う保険料を、今の高齢者世代への給付に当てるというものですね。

 

日本の年金制度は、積立方式で始まりましたが、時代を経るにつれて賦課方式に移行してきました。

 

それぞれの特徴としては

積立方式は運用益が確保できることや、一方インフレなどの経済変動に弱いこと、

賦課方式はインフレなどには強いが、世代間の人口比率が変わると保険料の上昇や給付の削減が必要になること、などが挙げられると思います。

 

さて、よく聞く議論として、日本は少子高齢化が進む中、賦課方式では限界があるから、積立方式に移行すべきだ、という議論です。

 

今回は、その考えに反論する、ニコラス・バーというロンドンスクールオブエコノミクスの経済学者の考えを紹介したいと思います。これは、なるほど、と私が最近感心したものだからです。

 

バー教授は、以下のように言っています。(「日本公的年金制度史」吉原健二、畑満より)

「積立方式と賦課方式は、単に将来の消費財に対する請求権を組織的に設定するための財政上の仕組みが異なるに過ぎず、この2つの財政方式の違いを誇張すべきではない。」

 

何を言っているかというと、積立方式と賦課方式は、結局、その時代の生産物の分配の方法の違いでしかなく、どちらの制度であっても、大して変わらないよ、ということです。

 

さらに、賦課方式から積立方式に移行するのは、トランスアクションコスト、制度を移行することで発生するコスト、例えば、事務コストかかるので、それを過小評価してはいけない、ということを言っているそうです。

 

少し解説を試みます。

 

積立方式では、蓄積された保険料で買った資産、株式や債券を売ることで積立金を取り崩すして給付にあてることになりますが、その資産を買うのは現役世代になります。

 

現役世代は規模が縮小しているので、当然需要は少なく、その結果株式や債券の価値は下がりますよね。その結果、積立方式で蓄積していた資産の価値も下がり、結局支給できる年金額も下がるということになります。

 

また、仮に売却資産、資産価格が下落しなかったとしても、その年金で食材や衣服を買おうとしても、現役世代が少なく、 生産量が縮小しているので、需要が増えすぎる事になります。その結果需要超過を招き、結局消費財の価格が上がって生活水準が低下します。

 

なので結局のところ、積立方式でも賦課方式でも、その時も現役世代の総生産に影響を受けるということです。

 

賦課方式は現役世代から集める保険料の低下を通じて、

積立方式は株式・債券市場を通じた運用益の悪化を通じて、

年金額や生活水準が下がっていくということです。

 

…なかなか暗い話になってしまいました。

 

結論は何れにしても、将来の総生産を増やしていかないと、当然給付される額や高齢者の生活水準はさがるということです。そのためには、働き手を増やすこと、生産性を高めることが必要です。

 

慶應の権丈先生の本などを参考にすると、今後の年金制度の課題は、

① 年金額のスライドシステムをしっかりとワークさせること。すなわち、今の高齢者世代が制度の枠組みで設定されている支給額を超えて支給されることがないようにすること

② パートの労働者をしっかりと厚生年金の枠組みに入れて、制度の支えてを増やすこと、制度の支えてが増えると制度の安定性は高まります

③ 年金の支給年齢を引き上げること、今の日本社会の働き方にも関連しますが、支給される側を減らすこと

があると思います。

ですが、いずれも大きな問題ですので、政治も大きく絡んで、なかなか難しいです。年金問題は政治問題化しやすく、政権交代につながったこともあります。

 

年金はかなり複雑な仕組みですが、少しずつ勉強してここの記事もブラッシュアップしたいですね。いずれにしても、制度の適切な理解が必要なのかと。

 

最後に、厚労省の方でも、分かりやすく年金制度を解説した漫画がありますのでそのリンクを紹介したいと思います。

巷ではバッシングを受けていましたが、分かりやすく解説されていると思います。

http://www.mhlw.go.jp/nenkinkenshou/index.html