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20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

年間3500万円の薬の登場、その問題とは

 

意外と知られていないことかもしれませんが、日本の医療・介護サービスの値段は国の告示(レベルの低い法律)で規定されている、公定価格です。

 

診療報酬は、医療のお値段。初診料や入院料などのほか、薬のお値段(薬価)も決まっています。

一方、介護報酬は、介護サービスのお値段。デイサービス一回行くとかかる値段や、特養ホームの一日当たりの入所料を決めています。

 

さて、今回記事に取り上げようと思うのは、薬のお値段(薬価)です。診療報酬というのは、2年に1度改定されていて、薬価も2年に一回改定されています。

 

薬価は薬局で調剤されるときに、私たち患者が払う額を決める際に使う額なのですが、実際には、薬局や病院が薬を薬の卸の業者さんから仕入れるときには、薬価より少額な価格で仕入れています。それは、病院や薬局も儲けなければいけないので、当然ですよね。これを市場実勢価格と言います。

 

薬価というのは、2年おきに、市場実勢価格にちょっと利益が乗るように、改定されます。その結果、一番はじめに値付けされた価格から、薬の値段は、下落していくということになります。

 

さて、最近薬価の話で話題になっているのは、非常に高額な薬剤が出てきている!、ということです。例えば、ソバルディとかハーボニーとか(肝炎の薬)、オプジーボ(がんの薬)というのを聞いたことがありませんでしょうか。

 

一番最後に上げた、オプジーボという薬は、一年間服用すると、一人当たり3500万円というかなり高いお薬と言われています。

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このような薬を服用する人が増えてくると、日本の医療費が膨れ上がるのではないか。。。と心配されているのです。

 

ちなみに実際に日本の医療費は伸びています。平成27年度の概算医療費では、日本の医療費は41兆円であり、前年度比は3.8%の増加です。

その前が、1.8%、2.2%、1.7%となっているのを踏まえるとちょっと伸びが大きくなっていますね。

 

そのうち調剤医療費(薬に係る医療費)は、9.3%の増加となっており、その前が、2.3 %、5.9%、1.3%となっているのを見ると、薬のお値段もかなり伸びていることが分かります。

 

それではなぜ、このように高い薬価がつけられるのでしょうか。その理由は、薬価の値段が開発コストに影響を受けているからです。

(オプジーボは、日本で初めて使えるようにしたため、海外における値段と比較しながら値付けができなかったことや、初めは皮膚がんにしか使えず、対象となりうる患者さんが少なく見積もられていた等々の理由がありますが、やはり開発費の影響も大きいのかなと。)

 

薬の開発というのは、本当に根気がいる仕事です。まず、薬のもととなる化合物を延々と探し、そのあと動物実験や治験(人に試してみること)を統計的に信頼できるほど繰り返し行い、安全性・有効性を示す必要があります。一つの薬をつくるのに、何年も、時には10年上もかかることがあるそうです。

 

最近は、特に高度な技術を用いて作られる薬も出てきたということで、この開発コストが上昇すると、薬価も高くなるという構図になります。

 

それでは、こうした問題にどういう対応方針があるのでしょうか。最近議論されているのは以下のようなことです。

 

①薬価改定は原則的に2年に1回ですが、あまりにも予想以上にバカ売れしてしまった薬については、特例的にその途中でも薬価改定を行う(すなわち公定価格を下げる。)

 

ガイドラインを作成し、どのような患者さんに対して、その高額薬剤を投与するかを示し、薬を処方するお医者さんに必要以上に薬を処方しないようにしてもらう。

 

①については、医薬品メーカーには利益が減ってしまうのでたまったものではないですし、②については、お医者さんを自由に自分の判断で薬を処方するという権利を歪めないか心配、という反論が考えられます。

 

いずれにしても、今後、医療費が増大していく中では、費用対効果という概念が浸透していく必要があるのではないかと思います。

 

あまりにも高い薬に対して、それに見合う効果はあるのか、ということです。より明確にいうと、確かに効果があるかもしれないが、余りにも高い薬を使うのはどうなの?、ということです。

 

今、薬価の決定方式のうち、費用対効果という考えは、試行的に導入されている段階ですが、今後の医療費の増大を考えると、費用対効果の考えをもっと浸透させていく必要があるのではと思います。

 

ちなみに、先ほど述べた1年間3500万円の薬についても、日本の公的医療保険の中では、本人の自己負担額は年50万円程度ですみます。

これは、自己負担額については、高額療養費制度といって、あまりにも医療費の負担があると大変なので設けられている仕組みなのですが、実際この制度の恩恵はすごいものだな。。と思いますよね。

 

残りの3400万円は税金や皆さんの給料から天引きされている保険料から賄われています。

 

勿論、医療ニーズが必要な人には、しかるべき医療がされ、いいお薬が使われるべきだということは言うまでもないのですが、お金の面も無視できないな、という状況になっているということです。