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若者による社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

オバマケアとは何だったのか 

最近、アメリカのトランプ新大統領のニュースばかりですね。通商政策や移民政策にも注目が集まっているところですが、個人的にトランプ大統領の登場によって社会保障政策はどうなるんのか、、というのが気になります。

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(写真はwikipediaより。)

 

トランプ大統領は、前のオバマ大統領が実現したオバマケア(正式にはAffordable Care Actといいます。)に対して反対・あるいは見直すべしという立場にいるようです。

 

ということで今回は、そもそもアメリカの医療保険の歴史やオバマケアってなんだったのか、、ということについて記事にしたいと思います。

 

その前に日本の医療保険の中身をざっと確認すると、

国民全員が公的な医療保険制度に入っている国民皆保険が達成されていますよね。

しかも、皆さん保険証一枚あれば、どの医療機関にでもかかれるし(フリーアクセスといいます。)、

さらに、受けたサービスが一緒であれば、その値段も一緒ですよね。例えば、高齢者でも子どもでも、生活困窮者でも、初診料は同じですよね。

 

これは、日本では、医療保険は国による制度管理がされ、窓口での患者さんが支払うのはかかった費用の3割とか決められていたり、全国一律に診療報酬や薬の値段も決められているからです。

 

一方のアメリカがどうなっているかというと、そういうわけでもないようです。

アメリカには高齢者や低所得者は違いますが、多くの人は公的な医療保険ではなく、民間の医療保険に加入しています。

 

民間の医療保険となると、それぞれ、保険を出してあげる範囲が異なっていたり、その民間の保険会社と契約している医療機関で治療を受けないと、保険がおりない、ということになります。

 

げげっと思いますが、これにはいい面もあって、個人が自分にとって一番納得がいくような保険を選択できるということです。保険料をどれくらい払って、その対価としてどれくらいのサービスが受けられるか・・健康な生活を送っているのでれば、高い保険料を払ってまで、めちゃくちゃ充実した保険に入る必要なんてありませんよね。

 

ただ、民間保険であれば、病歴がある人は再発リスク化があるので、保険料を高めに設定されたり、そもそも保険に入るのを拒否したりすることだってあります。病気になるリスクがある人ばかりになると、保険の給付費が膨れ上がって、保険会社も儲からなくなっちゃうからです。

 

オバマケアは、2010年に成立したものですが、その内容は、雇い主に被用者に対して民間保険を提供することを義務付け(従わなかったら罰金)、自営業などの個人に対しても民間医療保険に加入することを義務付け(従わなかったら罰金)を行いました。

 

ですが、お金がなくて入れない人もいますので、そういう人に対しては、税制面での優遇をすることで負担を減らしたり、連邦政府や州政府がそのような人でも入れる医療保険を紹介するような仕組みをつくっています。

 

また、民間の医療保険にも、その人の健康度合で保険に加入することを拒否することをできなくしたり、患者さんの自己負担額が過大なものにならないようにさせたりする規制を強化しています。

 

このようにして、オバマケアは、民間保険が主体のアメリカの医療保険制度を維持しつつ、それに国民が加入しなければいけないよ、ということにしたということですね。

 

ですが、そもそもなんでアメリカでは、日本とかと違って、民間の医療保険が主流なのでしょうか。

 

アメリカでも過去何度も政府が制度管理をする医療保険制度をつくろう、という試みがあり、F・ルーズベルトトルーマンといった民主党が主導権をもつ時代にもされたこともありました。

ですがその際、患者と医師の間に国家が介入すること(例えばどの診療に何円の保険が下りることを決めること)とは何事だ!、自由の国アメリカでそんなことはあってはいけない!、といったように反対を受け、頓挫してきた経緯があるそうです。

 

特にアメリカという国は、イギリスから逃れてきた人たちがつくり、自由や平等、民主主義、という理念に基づき憲法が制定され、その理念を国民のよりどころにしているという建国の歴史あります。

そうすると、国家による自由への介入ということについて、抵抗感がある人も少なくないそうです。それは、各州の自治権が強い分権制にも表れていますよね。

 

そういう背景により、国による医療保険制度の管理というのは拒否され、個人の契約や判断に基づく民間保険が発達してきたというわけです。

 

オバマケアは、このような流れを踏襲しつつ、民間保険中心のアメリカの医療保険の在り方は変えず、それをベースとして、みんなが医療保険の枠組みに入ることを目指したものと位置付けになるということですね。皆保険は過去何度もトライしてきた民主党の悲願でもありました(日本やヨーロッパとは違い、国が制度運営するものにはなりませんでしたが・・)。

 

一方、財政赤字が増えるとか、保険料の上昇が止まらないとか、医師が書く必要がある書類が増えたとか、、、批判もでてきており、しかもオバマケア法は、共和党の賛成を得ずに押しとおしたという議会プロセスもあるので、今回トランプ大統領が就任したことで、何らかの修正が今後されていくの必至かと思います。

(国による皆保険を目指してきたのは、一貫してリベラル派・民主党でした。)

 

日本では高度経済成長期に国民皆保険が達成され、しかもその後、一部の都道府県で行われていた高齢者の医療費の無料化を全国実施するということをやったりと、医療保険を充実してきた歩みはアメリカとは対照的ですね。国家による自由への介入、ということはやはり日本ではあまりフィーチャーされないのは国民性の違いなのかと思います。

 

以前、ライフネット生命の会長の出口さんの講演を聞いた時、彼は「ものごとを理解するのは縦と横」という旨のことを言っていました。縦は時間(歴史)、横は面(地理的比較)ですね。そのような意識で今後も勉強としていきたいですね。