20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

医療の値段(平成30年度診療報酬改定)  

最近、体調がすぐれなく、近くの診療所に通うこととなりました。はじめていく診療所でしたので、保険証を出して、問診表を書いて、検査をされて、先生の診察を受け、さらに注射をされて、結局、僕の自己負担は4000円くらいでした。

 

意外にも結構高かったのですが、そもそも、なんでこれくらいするのでしょうか。そもそも医療の値段ってどのように決まっているのか、気になったことはありませんか。

 

今回は、医療の値段(診療報酬)について、説明したいと思います。

 

さて、診療所からもらった明細書を見ると、

・初診料  282点

・検査料  843点

・病理判断 340点 ⇒ 合計1456点

でした。

 

「点」というのは、「円」に換算すると10円になります(全国一律)。すなわち、トータルで14560円の医療費がかかっています。

その3割が自己負担になりますので、僕がお財布から出したのは大体4000円強です。

 

わざわざ「点」で表記しているのは、かつて、地域別に「一点当たり何円か」が違ったことがあった名残かと思います。

 

これらの点数は、国が全国一律に定めています。

そのため診療所に始めていった場合の初診料は、口コミが最悪のクリニックでも、評判がいいクリニックでも同じです。

 

診療報酬とは、このような全国一律の医療の値段になります。

 

ですが、お医者さんや看護婦さんなどが提供してくれるサービスは様々です。

世の中には多くの病態の患者さん、治療法があります。

 

医療費は、多額になるので、患者さんの自己負担以外に、多くは公的な医療保険で賄われます。その財源は皆さんが予め支払う保険料や税金になりますので、その使い道・ルールをしっかり決めておく訳ですね。

 

そのため、診療報酬は、医療保険のメニュー表のようなものです。

 

何を保険のメニューとしてオーダーできるのか、その値段は何かを表しています。

ですが、上述したとおり、様々な患者さん・治療法がありますので、そのメニュー表は一冊の辞書くらいに匹敵します・・・。

 

診療報酬は医療保険のメニュー表という意味合いがある一方、医療機関の収入に直結するものという意味合いを持っています。

 

一部の美容整形など、保険がおりないものもありますが、日本の医療機関のほとんどは公的医療保険からでる診療報酬が収入源で、割合でいうと9割以上になっているそうです。

 

医療機関にとって診療報酬は簡単に請求できる訳ではありません。

様々な設備は整っているのか、人員はそろっているのか、運営はどうなっているのか、平均的な入院期間はどれほどの長さか、どのような容態の患者さんを受け入れているのか、薬剤の契約状況はどうか・・・、と点数ごとに「請求できる条件」がそれぞれ決まっています。

 

医療機関は、しっかりと準備・届け出をしてから、診療報酬を請求している訳ですね。

 

例えば、病院に入院すると、入院基本料というのがかかりますが、これを請求するには、

・感染防止対策は十分か

・医療安全管理体制はどうか

・褥瘡(じょくそう。床ずれ)対策はどうか などといったことが条件になるのですね。

 

さて、この診療報酬については、基本的に2年に一度改定されます。これは、点数の変更、新しいメニューの追加、算定要件の見直しなど、大掛かりなものです。一年くらいかけて国の審議会で議論して、最終的に国の予算の状況も睨みながら、決められるのですね。

 

診療報酬の改定には、国の医療政策の方向性が大きく反映されます。

日本の医療機関は民間病院が中心であり、その経営方針については基本的には国が関与する筋合いはありません。

 

そのため、前の記事でも触れた通り、診療報酬の算定要件の変更により民間医療機関の動きを誘導し、目指すべき姿を達成しようとしてきたのですね。

『データに基づく医療改革参照』

 

その診療報酬改定は、本年度末にも行われることとされています。今の医療の現状と課題、目指すべき姿を踏まえて、どのような改定が行われるのか多くの人が注目しているのではないでしょうか。

 

介護保険のサービスについても、診療報酬と同様に介護報酬というものがあります。

介護報酬については、3年に一度見直すこととされていますが、これもまた本年度末に改定が行われます。

そのため、診療報酬と介護報酬が同時に改定(障害サービスの報酬も改定されるのでトリプル改定という人もいます。)されますので、特に注目が集まっているのですね。

 

さて、そのような診療報酬改定ですが、どのような方向性で改定が行われるのでしょうか。

それはすなわち、将来の日本の医療政策の方向性であるのですが、国の審議会の資料によると以下のようなものが示されています。

 

① 住み慣れた地域で医療・介護が受けられる体制を整備する

・日本では、保険証があればどこの医療機関でもいけますので、「かかりつけのお医者さん」というものがありませんが、「かかりつけのお医者さん」を普及していく

・自宅や介護施設で医療や看取りを受けられる体制を整備していく

 

② 医療機関の役割分担・役割分担した後の連携を強化していく

・現状データに基づく分析によると、今後、急性期に対応するベッドのニーズは減り、慢性的な病気を抱えた方に対応するベッドが必要になる。それに向け、報酬改定による誘導を行う

 

③ 質が高い・無駄がないサービスの提供

・費用対効果の測定(値段に見合う効果はあるサービスか。)、アウトカムの測定(そのサービスは状態の改善につながったのか。)を進める

ビッグデータの分析や、ロボットの活用も進める

 

上記のほか、薬の値段の決め方についても抜本的な改革をする方針が示されています。

 

これらの方針が実際の報酬の改定に反映されるのは、今年度末になるため、今後より具体的な議論が進められることになります。

 

ちなみに、診療報酬が全体的に高くなることをプラス改定といいます。これは医療機関にしてみては収入増になるので喜ばしいことで、日本の医療の質の向上にもつながるものでもありますが、患者の自己負担や国の歳出は増える側面があります。

 

逆に、診療報酬が全体的に低くなることをマイナス改定といいます。このプラスかマイナスになるかは、一番分かりやすい注目ポイントです。

 

本年度のヘルスケアの最も注目を集めているトピックなので、是非注目してみてください。