20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

書評:高度成長

経済史シリーズということで引き続き、『高度成長』(吉川洋)という本についてもポストしたいと思います。

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この本や、財政審の部会長でもあった、偉い先生の本ですが、高度成長期の人々が実際にどのような感じだったのか、肌感覚で分かるような書きぶりになっているのが面白いところです。

 

高度経済成長は、投資が投資を呼ぶといったように、鉄鋼など素材産業が拡大、耐久消費財の価格低下、需要増、投資増・・・といったようにまさに好循環が起きたという時代でした。

耐久消費財では三種の神器といわれる、テレビ・洗濯機・冷蔵庫の需要が引っ張りました。

 

この当時、洗濯機を初めて使った女性の手記のようなものが掲載されていたのですが、その驚きぶりといったら、さぞすごかったのだろうと、ひしひしと感じました。当時はいわば、洗濯板でごしごし洗っていた時代ですから、自動で洗濯をしてくれるものなんて本当に驚きだったのでしょうね。「洗濯機にお神酒をあげたい」というような気持ちだったそうです。

 

一方で、この三種の神器のなかでも、低所得者も含め、一番普及が早かったのは、テレビというのはすごい興味深い事実でした。生活の質を上げてくれるのは洗濯機や冷蔵庫なのではないかと普通思うのですが、人間の「見ること」への欲望というのはすごいのですね。

この当時、美智子さまの結婚や、プロ野球力道山といったイベントやスターがテレビ需要に拍車をかけたそうです。

少し前に、開発経済の本を読みましたが、貧しくて必要なカロリー摂取が出来ていない場合であっても、食費より娯楽にお金をかけるという人の性があるということが指摘されており、どの時代においても、人の娯楽への欲望というのは変わらないのだなと思いました。

 

また、洗濯機の普及は農村では遅かったようです。これは三世代同居とかのときに、お嫁さんが洗濯機を買って楽をしたら、姑から「私たちが若いころは苦労したのに何事か」というようなことを言われることもあったそうです。

部活の先輩が一年生に合宿所で皿洗いさせるような感じですよね。「俺らも一年生の頃苦労したんだから、お前らもやるんだぞ」と。

 

さて、高度経済成長は、農業より工業の生産性を押し上げ、雇用をうみ、賃金をあげ、その結果、都市部に人が集中することになりました。そこには、集団で学生が都市部に流入するようなこともあったのですが、核家族化が進み、世帯数も増えました。

 

世帯数が増えると、需要が増えます。この需要増が、高度経済成長の要因の一つでした。著者が指摘するのは、高度経済成長が終わったのはオイルショックとよく思われているけれども、実は世帯数の増加がストップしたことにあるとのことです。

1970年代には、都市部への人の流入がひと段落し、世帯数が急増するという自体はなくなりました。これが、需要増をとめたのだということですね。

 

都市部への集中や、世帯の増加(単身の高齢者・・)といったことは今でもありそうですが、状況は高度成長と全然違いますよね。

 

高度成長の時代には、平均寿命も大きく伸びる一方、公害も問題になった時代でした。

今の高齢者、自分の祖父母たちが主役だった時代だと思うと遠いようで近いですね。自分がその時生きていたら何をしていたのだろうか、と純粋に思いました。