20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

書評『人口学への招待』

今年の年末年始の読書では、『人口学への招待』(著:河野稠果)という本を読みました。

10年以上前の本になりますが、十分に読み応えがあるとてもいい本だったので、簡単にメモしたいと思います。

 

最近は、少子化対策というテーマの本を読んだりしていたのですが、
そもそも合計特殊出生率って何?、結局のところ日本の少子化の要因っていうのは何か?
ということに関心があり、この本にトライしてみました。

 

個人的には、少子化対策は雇用形態や保育施策など、いろいろな分野が絡むので、頭の整理ができていません。

理想の子どもの数というのは、日本では2人以上を超えていますが、いろいろな理由があり、対策が打たれています。

 

・教育費が高いため、子どもをもつことに抵抗がある → 幼児教育の無償化

・子どもがいると、仕事が続けられない → 保育の受け皿整備、育児休業

 

 

ただ、今の仮説は、男性の育児参加、家庭内分業の意識改善、長時間労働の多さが、変化しきれていない日本の我が国の社会的に裏側にあって、てこ入れが必要なのではないかということです。

 

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・日本の平均寿命は戦後、30年以上延びているが、これは乳幼児死亡率が低下した影響が大きく、高齢者が長く生きるということはない。

→ 平均寿命は、0歳児の平均余命であり、平均寿命を延伸させる要素としては、乳幼児死亡率の低下も含まれる。このため、過去高かった乳幼児死亡率が低下した結果、平均寿命の延びが起きている。また、昔は20歳前後で結核による死亡率が多かった。

→  「65 歳の男子がさらに何年延びるかというと、1935~ 36 年の 9.9 年から2005年の 18・1年へとわずかに 8.2 年延びただけである。次に 75 歳のところの余命は 5.7 年から 11・1年へとわずかに 5.4 年の伸長にすぎない。女子の場合、それぞれ 11・3年、 8.2 年の伸長にすぎない。」とのこと。人生100年時代といっても、高齢者の寿命が無限に伸びていくということもないのかもしれません。

 


・人口の年齢構造の変化は出生率の変化の影響が大きく、死亡率の変化によるところは小さい。

→ 人口ピラミッドの構造変化というのはよく見ます。日本の平均寿命は長いので、僕は平均寿命の延伸の影響があるのかなと思っていたのですが、平均寿命の延伸は全年齢に及ぶ一方、出生率の低下は、人口ピラミッドの底辺にしか効かないので、出生率の影響がやはり大きいということです。ただ、乳児死亡率も現在はかなり低くなっていますので、今後は、高齢者の死亡率の改善により説明されてくるということです。

 


・ 2005年から人口減少が始まっているが、実は1956年以後、ずーっと人口置き換え水準を割っていた。

→ですが、「日本人口の年齢構造は長い間比較的若く、出生率が低くても子どもを産める年齢の女性が(男性も)相対的に多かった」といったことから、人口はずっと増えていた。人口構造の変化は大きなモメンタムがあるということですね。そのため、「今度はそれと反対に出生率がいますぐ人口置換え水準に回復すれば人口減少はすぐに止まるであろうか。答えは「ノー」である。」

 


現代日本で特徴的なことは、結婚している 15 ~ 49 歳女性の避妊実行率が2000年現在 56% と低い。

→日本では結婚した男女の性的行為の頻度が少ない。
→日本では中絶が多く、中絶がカップルの避妊実行率の低さを補っている。避妊方法がコンドームなどに偏り、失敗の場合に女性が中絶に依存するパターンが定着。2005年、出生数106万2530人に対して中絶は 28 万9127件。

 

・近年の少子化は、結婚適齢期の女性が以前よりも結婚しなくなった効果が約7割、結婚している女性が子どもを以前より産まなくなった効果が約3割

 

・生物学的な人口再生産活動期間と社会経済的条件によって人為的に狭められた現実の再生産活動期間のギャップこそが、日本の出生率をかくも低く、人口置換え水準以下に押し下げている直接的原因。

 

・(我が国では、)家庭外の職場や公共施設では女性は自由と平等の権利を十分行使できるが、家庭内に男女の役割分業制度が存続し、女性は家事、育児、老親の介護を押しつけられ、夫からのサポートがほとんどない状況がみられる。
→ 伝統的な家族志向の制度を維持し、男女役割分業制が残っている国ほど、出生率が低い。
→ 日本・韓国の長い労働時間は、男性の家事・育児への参加を阻害し、伝統的性役割意識を温存する役割を果たしている。

 

・フランスの出生率の回復はよく話題にされるが、「(1870年の普仏戦争に敗北して以来、)1世紀にもわたり出生促進政策を国是として行ってきた。北欧諸国も1930年代以来、子どもを持つ家庭への援助と、働く女性の仕事と家庭の両立を支援する手厚い家族政策、住宅政策を実施してきた。昨日今日になって人口・家族政策をはじめたわけではないのである。」