20代の社会保障のブログ

ニュースで見るけど難しくてよく分からない社会保障を少しだけ噛み砕いていくブログです。若者目線で綴っていきます。

妊婦加算について思うこと

昨年末に大きく話題になった、妊婦加算について今回は記事にしてみたいと思います。

 

まず、妊婦加算とは何なのか。日本の公的医療保険については、診療報酬というメニュー表が、国の告示において決められており、〇〇という治療には、××円、というように全国一律に決められています。

 

みなさん、風邪を引いたときに、病院にいって診察を受けると、初診料は、2820円(診療報酬上は1点=10円で、282点と表記)とされており、この更に3割分が、患者さんの自己負担となります。そして、残る7割は、健康保険から支払われるということになります。

 

この、初診料などの診療報酬が医療機関のほぼすべての収入源になります。そのため、診療報酬上のメニューを多くとればとるほど、医療機関にとっては、収入増となりますので、この診療報酬は政策誘導に使われています。

 

そのため、例えば、リハビリの医療提供体制を充実させよう、とした場合、リハビリを行った場合の診療報酬を増額させ、医療機関インセンティブを与えようということです。

 

今回の妊婦加算というのは、その狙いとしては、上の例と同じように、妊婦さんに対する医療提供体制を評価しようとしたものだったのですね。

 

ところが、この診療報酬の増額、というのは、すなわち医療の値札を上げることになりますので、当然、定率の負担(3割)を求められている患者サイドにとっては、負担増になります。

 

今回の妊婦加算については、妊婦に対して初診または再診を行った場合に、普通の人の初診料や再診料に加算してプラスアルファした額の診療報酬を、医療機関に与えるものでした。

具体的には、初診だと、750円加算(患者にとっては約230円の負担増)するものでした。

 

この狙いは、
① 胎児への影響に注意して薬を選択するなど、妊娠の継続や胎児に配慮した診療が必要であること
② 妊婦にとって頻度の高い合併症や、診断が困難な疾患を念頭に置いた診療が必要であること
などの特性があることから、妊娠の継続や胎児に配慮した適切な診療を評価するもの、と説明されています。


医療費の25%くらいは、国による税金により賄われています。
そのため、妊婦加算を実施するためには、この厳しい財政状況から、妊婦加算のための財源をねん出する必要もあるのですね。

 

そのため、狙いとしては、「妊婦さんの医療提供体制を充実させたい」という思いからの施策だったわけです。

 

ですが、確かに、患者サイドから見ると、なぜ妊婦であるがために他の人より負担が増えないといけないのか?、という意見が沸き上がり、結局この妊婦加算は凍結されました。

 

今回のケースは、診療報酬の、医療機関への収入という面と、患者の負担額を決める面という、両面がはっきりと対立したケースであり、興味深く見ていました。

 

診療報酬は2年に一回改定されますが、診療報酬がプラス改定になるか、マイナス改定になるか、特に注目されているポイントです。

 

なんとなくですが、国全体の論調として、「プラス改定が望ましい」という空気間があると感じていました。もちろん医療関係者の方は、過酷な労働環境の中、その評価がされることは望ましいと考えます。

 

一方、プラス改定になると、まず、患者の負担は増えます、また、医療費の源泉となっているもう一つの要素、我々が毎月支払っている保険料も増えます。ついでに国費も増えます。

 

そのため、中医協という診療報酬を議論する会議体では、健康保険関係の団体の代表者も入って議論しているわけですが、
今回のケースのように、診療報酬には医療機関の取組を評価するという面がある一方で、費用負担者から理解されるのか?という視点をもつことが重要かと思います。

 

今回の妊婦加算は最終的に凍結されてしまいましたが、患者にとって、「なるほど確かに妊婦さんにとって手厚い医療をしてくれているな」と実感のできるものであったなら、批判は 免れたかもしれません。